滲出性中耳炎について


Q1.滲出性中耳炎と言う病名はあまり耳慣れない名前ですが・・・・・
A1.そうですね、前回は急性中耳炎についてお話しましたが、子供さんに多い病気でしたよね。 この滲出性中耳炎と言うのは、中耳に液体が貯留している状態なんですが、急性中耳炎と違って、痛みが出ないのが特徴ですので『痛くない中耳炎』と考えてください。お年寄りにも見られますが、やはり子供さんに多い病気なんです。最近増加してきているんですよ。

Q2.痛みがないと言われましたが、ではどの様な症状がでるのでしょうか?
A2.そうですね、耳閉感、自分の声が耳に響く(自声強調)、耳鳴、難聴等が症状なんです。 判りやすく言いますと、トンネルに急に入った時の感じを思い浮かべてください。あの感じですね。前回お話しました『急性中耳炎』の時もそうでしたが、やはり小さい子供さんの場合は、自分で症状を訴える事が少ない上に、急激には症状が出ないものですから益々難しいのですよ。ですから大人が気をつけてあげないといけないんです。 例えば、この頃落ちつきがないなあとか、特別何かに集中している訳でもないのに名前を呼んでも返事をしないなあとか、いつもよりテレビの音を大きくしているなあとか・・・ そう言った些細な子供の変化に気がついて欲しいのですね。

Q3.どういった事が原因になっているのでしょうか?
A3.中耳と鼻の奥(鼻咽腔)をつなぐ耳管の通りが悪くなることが原因なんです。耳管の通りが悪くなると、中耳の空気圧がマイナスになり、中耳の表面の粘膜から分泌物が少しずつ湧き出てきます。この状態が滲出性中耳炎なんです。 それでは、どういう時に耳管の通りが悪くなるかと申しますと、例えば耳管そのものの炎症、鼻咽腔の炎症、これらは風邪の後などに出やすいですね。それから、扁桃肥大、アデノイド増殖症(鼻咽腔にある扁桃と理解してください)などが関係しますね。子供にこの病気が多いと言う理由のひとつには、扁桃やアデノイドの大きさが、生理的に6、7才頃が最も大きい時期であると言うことにも関係しているんです。他に慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎など鼻の病気が原因となる事もあります。それと、急性中耳炎の治療が中途半端になってしまった場合なども滲出性中耳炎に移行する事がありますね。

Q4.診断はどのようにされるのでしょうか?
A4.これは耳鼻科医を受診することですぐにわかります。鼓膜を診ると殆ど診断がつきますが、純音聴力検査、チンパノメトリー(中耳の空気圧や鼓膜の可動性などを見る検査)を行うことで確定できます。純音聴力検査は5才位にならないと正確には行えませんが、チンパノメトリーは年齢に関係なく可能です。

Q5.それでは治療について教えてください。
A5.中耳腔のマイナスの空気圧を正常にする事や、中耳腔にたまった貯留液を排除させる事も大切なんですが、原因となっている病気の治療をするが一番大切なんです。 中耳の空気圧をもどすためには『耳管通気』という方法があります。これは、鼻の奥にある耳管の入り口から強制的に空気を送るのですが、耳管の通りが悪いと、直ぐにまたマイナスの圧力に戻るため根気よく治療を続ける必要が有りますね。 貯留液を取り除く方法としましては、1.鼓膜穿刺(注射器で鼓膜を刺して中の液を吸い出します)や2.鼓膜切開(メスで鼓膜を切開して滲出液を吸い出す)が有ります。 どちらの場合も局所麻酔をすれば痛みは殆ど有りませんが、子供には恐怖心がありますので、鼓膜を切開する時の音に驚いて暴れる事もあります。

Q6.鼓膜を切ったりすると聞えなくなるのと違いますか?
A6.鼓膜に穴があくと聞こえなくなるのではないかと心配される方がいますが、鼓膜穿刺や 鼓膜切開程度では殆ど問題はありません。かえって中耳に液が溜まっている時よりはずっと聞こえが良くなるものなんですよ。 何度鼓膜切開をしても良くならない場合は、鼓膜にチューブを埋め込む手術をする事もあります。 その他の手術としましては、耳管を圧迫する原因を取り除く為に、アデノイド切除術や扁桃摘出術などが行なわれる事もあります。 それと、鼻咽腔の処置やネブライザーなどの治療を根気よく治療を続ける必要がありますね。有効な飲み薬もありますのでそれを使いながらの治療も大切ですね。治療は週に2〜3回行うと効果的かと思いますが、結構大変ですよねえ・・・

Q7.予防と言いますか、普段から気をつけないといけない点などありますでしょうか?
A7.そうですね、結構問題となるのが、『鼻すすり』なんです。これは滲出性中耳炎を悪化させるのです。鼻をすすった時に中耳から空気が鼻のほうに引っ張り出されて、中耳の空気圧が下がるからです。それと、鼻をかむ方法ですが、急性中耳炎の危険性がありますので、片方ずつゆっくりと鼻をかむ習慣をつけてください。それと、最近うるさく言われている『タバコ』ですね。大人が吸うタバコの影響で子供が急性中耳炎や滲出性中耳炎になりやすいと言う報告が有ります。タバコはやっぱり、百害あって一利なしですねえ・・・ 小児の滲出性中耳炎は、治りにくく、再発しやすく、非常にやっかいな病気ですが、小学校の2、3年生の頃には多くは治りますので、それまでの間は本人も家族の皆さんも根気よく治療にとり組んで下さい。滲出性中耳炎を放置しますと、難聴のために勉強が進まなかったり、友達関係に問題が生じたりする事も有るかも知れませんし、また慢性中耳炎に移行する場合もありますので、将来悔いを残こさないようにしっかりと治療しておく必要がありますね。((スイミングは滲出性中耳炎の急性期(痛みのある時期など)や鼓膜切開をした直後は無理ですが、その他の期間は原則として問題ありません。))